…そこは東京の裏通りにある、家賃43000円のボロアパート。
ひとりの男が陰鬱な表情で荷物をまとめていた。主人公・賢次朗だ。
これから賢次朗は、教育実習のために遠い遠い赴任先へと旅立つのだ。本人の意志とは関係なしに。
それというのも、賢次朗は大学生活をエンジョイしまくった結果、勉強らしい勉強もせずに落第寸前。
就職先なんてまったく見つからない有様だった。
みかねた母親が、自分の妹が務める学園へ教育実習に行かせる事を勝手に決めた。
しかしこの賢次朗、分類すれば“ダメな方のオタク”。
社交性0、協調性は低い、根性ナシ(オタク方面は別)、女の子と付き合ったこと……皆無。
そんなわけで、先生になることに不安いっぱい。出発前から挫けかけてしまっていた。
母親も良く分かったもので、そんな賢次朗に釘を刺すため、絶妙のタイミングで電話を掛けてきていたのであった。
一悶着ありつつも、赴任先へと出発する賢次朗。
電車に揺られつつ、気分は市場に売られていく仔牛。
そうして辿り着いた学園は、なんと全寮制の女子校。
さらに学園の理事長は、叔母さんだった!
告げられていく衝撃の事実に、どんどん先行き不安に陥っていく賢次朗。
そんな賢次朗の前に、一寸の光明が差し込む。
それは学園の案内役として呼ばれた少女。
彼女は、賢次朗のイトコにして幼なじみの七星(ななせ)。理事長である八重の娘だった。
昔は「お兄ちゃん」と慕ってくれていただけに、賢次朗にとってはまさに救いの女神に思えた。
―が、2人きりになった途端七星は豹変。
「アンタ、まだオタクとかやってんの?キモチ悪いから学園ではあまり話しかけないでよね」
と、希望を打ち砕く一言を叩きつけられてしまう。
絶望する賢次朗。その時、ふとどこかで聞いたようなメロディが聞こえてくる。
それは、賢次朗がハマりにハマったファ○コンの超難易度アクションゲームのBGM。
オタの性としていてもたってもいられなくなり、教室に忍び込む賢次朗。
そこで見たのは、凄まじいテクニックでステージをクリアしていく少女。
思わず「すげー!?」と叫んでしまった途端、少女がミスをしてしまう。
その少女こそ、たった一人の部“漫研”の部長・飛鳥(あすか)だった。
こうして、女の園での濃厚オタク生活が始まる――